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2. 平行板型浮消波堤の着想
浮消波堤は、海洋空間の利用や海洋開発プロジェクトの増大と共に、静穏水域の確保が要求される中で、多種多様考案され2)、その実績も増大している。しかし、浮消波堤の目的が、入射波のエネルギーを吸収あるいは消散させるか反射させることにあるため、浮消波堤に対する概念そのものも多種多様であり、したがって、浮遊構造物としては排水量型の船舶に比べて、水面下形状が比較的複雑である。しかも、二次元的な発想のものが多数見受けられるだけでなく、実際に消波効果等について検討されていないものもある。
本研究の平行板型浮消波堤は、海面近くの海水の循環あるいは透水性が優れ、形状が簡単なうえに、しかも従来の浮消波堤程度の消波効果が期待できるものを目標に考案されている。目標とする平行板型浮消波堤の着想は「海面近くの海水の循環あるいは透水性は海水の水平方向の運動に依存する」ということと、「入射波を構成する水粒子は軌道運動(orbital mtion)をし、その運動の大きさは水深と共にexponentiallyに減少する」ということを前提として生まれた海面近くの海水の水平方向の運動を束縛せず、ある深さまでの水粒子の軌道運動を抑制し、しかも単純な形状という条件を満足するものとしては、静水面と平行な複数枚の平板から構成される構造物しかない。このような考えから、本研究で用いた平行板型浮消波堤は、海面近くの海水の水平方向の運動を自由にし、ある深さまでの水粒子の軌道運動を抑制するために、10枚の平板を水面と平行に一定間隔で深さ方向に連結したものとなっている。
本研究で用いた平行板型浮消波堤の消波性能については、水槽実験を実施し、直方体の形状をした二次元模型による、二次元的な消波動果について検討及び考察を行うと共に、立方体の形状をした模型を5基用いて、およそ模型の一辺の間隔でそれぞれ独立に係留し、それらによる消波効果について検討及び考察を行った。
3. 平行板型浮消波堤の供試模型
3−1 平行板型浮消波堤の二次元模型
平行板型浮消波堤(以降、FBHPと称することにする)の二次元供試模型は、長さ120.0cm、幅80.0cm及び厚さ1.5cmの長方形の平板の下面を水面に一致させ、同じ大きさの平板を深さ方向に一定間隔で平行に10枚連結しており、これを3基連結したものである。この二次元の浮消波堤をFBHP-2D型と称することにする。Fig.1にFBHP−2D型の正面図、側面図及び平面図を示す。
また、供試模型の上甲板が静水面と一致しているため、波浪中では入射波の波頂部分が上甲板を越え越波することが考えられる。したがって、この越波を防ぐために、上甲板に遮波板を施したものをFBHP-2Ds型と称し、Fig.2に示す。
更に、平行板の間隔を深さ方向にexponentiallyに狭めた二次元の浮消波堤をFBHP−2DE型と称し、Fig.3に示す。二次元供試模型の主要目をTable-1に示す。

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Fig.1 Tank test model of Floating Breakwater of Horizontal Plates (FBHP-2D)

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Fig.2 Tank test model of Floating Breakwater of Horizontal Plates (FBHP-2Ds)

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Fig.3 Tank test model of Floating Breakwater of Horizontal Plates (FBHP-2DE)

Table-1 Principal Particulars of Two−dimensional models

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